水虫
水虫は皮膚にカビが寄生する事で起こる感染症
足の水虫と呼ばれているものは、医学的には「足白癬」(あしはくせん)と言います。
足白癬は白癬菌(はくせんきん)というカビの仲間が皮膚に寄生して起こる感染症です。
白癬菌は皮膚の表面をおおっている角層の成分であるケラチンというタンパク質を栄養源にしているので、足だけでなく、皮膚なら体のどこにでも、さらには皮膚の一部である爪や毛にも寄生します。
白癬は白癬菌がついた場所によって病名が変わります。頭髪に寄生すれば頭部白癬(シラクモ)、内股に寄生すれば股部白癬(インキンタムシ)、手に寄生すれば手白癬(手の水虫)、爪に寄生すれば爪白癬(爪の水虫)、それ以外の顔から足の甲までの体に寄生すれば体部白癬(タムシ、ゼニタムシ)となります。
白癬の診断
白癬かどうかを診断する為に、ピンセットやメスで疑わしい場所のむけた皮をかきとったり、爪の一部を削って、そのなかに白癬菌がいるかどうか、顕微鏡を使って調べます。
足白癬の3つのタイプ
足白癬には趾間型(しかんがた)、小水疱型(すいしょうほうがた)、角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)の3つのタイプがあります。 趾間型と小水疱型に同時にかかることもありますが、角質増殖型と小水疱型が同時にみられる事はありません。
趾間型
足の趾(ゆび)の間が赤くなって皮がむけたり、ただれてジメジメしたり、皮が白くふやけたりします。
小水疱型
足の裏や側面、趾の腹などに細かな水膨れ(小水疱)ができてまわりが赤くなります。 小水疱は日が経つと乾いてかさぶたになります。また、小水疱が目立たず、赤くなって薄く皮がむけるだけのこともあります。 小水疱ができたときには強い痒みがあります。
角質増殖型
足の裏全体がカサカサして厚く硬くなり、ボロボロと皮がむけたり、踵がひび割れてアカギレのようになることもあります。 痒い事はありません。
角質増殖型足白癬4つのポイント
Point1. 冬に悪化する
趾間型や小水疱型は、夏場に症状が出るのが普通ですが、角質増殖型足白癬は汗をかかなくなり、空気も乾燥してくる冬になると悪化します。 足の裏のゴワゴワやガサガサが目立つようになり、足の裏全体の皮が硬く厚くなって、ひび割れやアカギレを起こします。ひどくなると痛みを伴うこともあります。
Point2. 年齢のせいと思われて、放置されるケースが多い
一般に、水虫は痒くてジュクジュクしたものというイメージがあるため、全く痒みのない角質増殖型足白癬にかかっていてもそれが水虫だとは気付かず、年齢のせいで足が荒れているようになったのだろうと、そのままにしている方がほとんどです。
Point3. いきなり角質増殖型足白癬にかかることはない
角質増殖足白癬の多くは、趾間型足白癬うあ小水疱型足白癬を放置したままでいたり、再発を繰り返している結果、何年もかかってしだいにこの型にかわってくるのです。
Point4. 爪白癬を合併している事が多い
爪白癬は、足の皮膚に寄生している白癬菌が叙所に爪のなかに入り込んだために起こる爪の水虫ですが、角質増殖型足白癬は水虫になってからの期間が長い方が多いため、爪白癬を合併する頻度が高いのです。また、手にも角質増殖型の白癬を合併している方もいます。
角質増殖型足白癬は身近な感染症
足から爪へ、爪からまた足へうつる水虫の悪循環
水虫の多くは白癬菌がゆびの間や足の裏に付着する事によってはじまります。
つまり趾間型や小水疱型の足白癬からはじまるのですが、趾間型足白癬や小水疱型足白癬を治療せずに放置したままにしたり、中途半端な治療によって再発や再感染を繰り返しているうちに、角質増殖型足白癬になります。
角質増殖型足白癬にかかった足からは絶えず白癬菌がばらまかれているので、爪白癬や手白癬などを引き起こしたり、家族やまわりの人にも水虫をうつす可能性があります。感染を防ぐ為に一番有効な手段は、水虫をきちんと治療することです。